アンヂィズキット

いろんな意味で演ずるひと。 芝居・音楽・絵・言葉をサイクロン方式に小出しにして遊びます 。

『ここは退屈迎えに来て』@梅田ブルク

監督:廣木隆一
出演:橋本愛 門脇麦 成田凌 渡辺大岸井ゆきの


「ここ」は自分の中だった。
実体は違えどみんな何処か似た人物のように思えた。
他人によって自分の存在価値を見出したり、
他人に確認されて支えられ立っているような。
誰しも然う云う部分はあるけれど
其処に比重をおいた人物たちをばらばらと線を結び
ひとつの絵を描いたようなお話だった。
退屈と云うざわざわした不安から抜け出せずに
迷路をぐるぐる交錯して出来た絵。
全員が、誰も誰にも触れていないように見えた。
触れられたと思ってたことは気の所為だったり。
夢の大きさは、他人の夢と比べて仕舞うから成るものだし
人の立場になれば ああ然うだね で済むことが
納得できなくて済まない人ばかりだった。
そんな自分の窪みにはまってしまったひとびとが
狭いところでじたばたして歌い出すのが
フジファブリックの「茜色の夕日」。
茜色の、志村のパワーを感じた。
歌で散らばったものを拾い縫い止めていったような。

個人的に、
なっちゃん役の片山友希さんの演技がとても良かったです。

2nd mini album リリースツアー 「ニガミ17才B―2018―」@心斎橋pangea

なんやかんやてんやわんやで
観たいのにすっかり観られんくなってたライヴ
やっと行ってきた!
其れもワンマンで!
なんなら初ワンマンで!

そもそも、
ミドリふぁんであり、
嘘つきバービーのライヴにもちょくちょく出掛けており、
ニガミと云うやつはどうにもダンスチューンらしいぞ
みたいな感じでしっぽを掴んではおったので
此の日、どぷんと音にまみれて
遅ればせながらすっかり嵌って仕舞ったのある。

ほんでもって
平沢あくびと云う存在。
若くてめんこい女子がおるな
ぐらいの知識で参じたらば
まったくもってぐっさりとヤラレタのだ。

カヒミと沙也加を足してニニニニで割ったような綺麗なお顔をして
カニカ愛らしく微笑い、小動物のように踊り、妖怪めいて動き弾くのだ。
然う、自分が妖怪のように弾く鍵盤二ストにめっぽう弱いのを忘れておった。

心地良い呪文のような言葉の響きがつるつると
すべり出るサウンドに急ブレェキをかけて急発進して
緩急を繰り返してるうちに踊る様に成っているような、
阿波踊ってるマイケルみたいな、
なんかわからんけどむちゃくちゃ格好いいな此れは!
て云うぶっとい雷にどかーんと脳天から裂かれたような衝撃の中
気づけば音楽の渦にうごーうごーと踊って居たのだ。

ライヴの終盤の盛り盛り上がりの曲の後半に
岩さんがあくびちゃんに云った
「あくび、一緒に歌うぞ!」
が男前過ぎてなんだなんだ其れぐっとくるぞと思ったらば
あくびのなみだ
嗚呼、あくびのなみだだ。
あくびが涙をとてもきれいに流しながら嬉しそうに歌っていて
嗚呼其れな!キたよな今!そうだよな!
て、まったく全然よく知らないのに!
絶対的居場所とか存在意義とかなんかよくわからない歓喜みたいな感情がどばどば流れてきて
あくびのぴゅあさに感動して
ドラマ7話からドハマり!みたいなよくわからない共感をして
すっかりと此のバンドに魅了されたのだった。

然し、いいものを観た。
いいシーンだった。

此れからも聴こう観よう
ふつうに陽気に踊りにまた来ようと
然う思った台風前夜だった。

『プルートゥ』@森ノ宮ピロティホール

出演:
森山未來<アトム>、土屋太鳳<ウラン/ヘレナ>、大東駿介<ゲジヒト>
吉見一豊<お茶の水博士、ルーズベルト声>、吹越満<アブラ―>
柄本明<天馬博士、人殺しロボットの声>
ダンサー:
上月一臣、大植真太郎、池島優、大宮大奨、渋谷亘宏、AYUMI、湯浅永麻、森井淳、笹本龍史
原作:浦沢直樹×手筭治虫 長崎尚志プロデュース
演出・振付:シディ・ラルビ・シェルカウイ


生活変わってから舞台観に行くの久々でした。
ダンスの先生が出演していることもあって、
今回はえいやっとチケを取り馳せ参じてまいりました。


休憩はさむ3時間大作系は結構苦手だったりするのだけれど
色々と見所があり、オペラグラスを持参しなかったことを悔いました。
嗚呼そうだった、先行以外で取ると本当に見えない・聞こえないになるので
小劇場以外での公演モノを観なくなっていたのだった。
自分の視力を恨みながらありったけに見開いて凝視。
ダンサーさんたち髪型似過ぎ!(笑)
取り敢えず体のフォルムで(←)先生を探してました。
然うしてたら他の人を結構見逃すのよね、舞台って。
そうだったそうだった。


見逃し過ぎた森山未來欲を満たしたのはゲジヒトを演じた大東駿介だった。
もうあまりにもちゃんと役者さんの大東氏を観てきてなかったので
結構に引き込まれた。
なんせ先輩ROCKYOUと勇者ヨシヒコでの記憶しかないから(笑)
上野樹里似のひとだなあ、双子役やらないかなあくらいの認識だったから(笑)
しっかりと安定した若きゲジヒトだった。
此の作品、初見で大東氏のゲジヒトでよかったなと思った。
其れから土屋太鳳のヘレナ。
鈴木先生』の時から大人びた落ち着きを醸すひとだったけども
演じ分けで特にヘレナが目を引いた。
思ったよりダンスのパートは少なかったように思うけれど
芝居の部分で目を引いた。
柄本明のロボットの喋り方も味があって好きだったなあ(笑)


美術や演出がとても素晴らしかった。
ダンサーさんたちはもうダンサーだけでないし
演者であり役者であり魅せる裏方だったりした。
然う云う意味でも、
人間か、人間でないか、
テーマになる線引きの無意味さを感じさせた。
ヒトもロボットも、想いがあればそう変わりはなく
感情は記憶として積み重なり成ってゆく。
ロボットがなんの為に生まれたのかを考えるのは
ひとが行き詰った時にぶつかる疑問、自分はなんのために生まれてきたのか、
に然う違いはない。
ひとつの動きにさまざまな意味があるみたいに
ひとりのロボットに何人かが役割を以って操る。
不可視な感情の成り立ちを観ているかのようだった。
あの複雑な動きはとても素晴らしく、
あちこちを凝視して何回も観たいぐらい興味深いものだった。


終盤の対決の気泡のようなものにのまれる?のりこむ?ところの演出が
すごく好きだった。
漫画ありきの投影と立体から生まれた躍動だった。

水曜日のカンパネラ「IN THE BOX TOUR」@Zepp Osaka Bayside

『SUPERMAN』と云う格好いいアルバムが発売された、
けど武道館ライヴがあったっきりレコ発ライヴがなされなかったので
結構に聴き込んだのちのワンマンライヴだった。
其の後リリースされてる『嬴政』や『メロス』なども含んだ新しいめの曲中心のものになっていた。
まあリード曲的な『アラジン』はなかったものの
『SUPERMAN』からも多数選曲されたセトリだった。


雲の糸が伸び、深い森のなんらかの巣のようなセット。
青と緑と紫と。
水の音、鼓動、
本編もずっと水の中に居るような感覚になる様々な技巧がされた。
いつもの中に入って歌う透明なボウルですら
泡のひとつのようだった。
照明さんが両サイドで縦横無尽に撃つように光線を放ち、
光は強く乱反射した。
幕は薄く光を通し、風を描き、影を映した。
コムさんが其れと戯れ操り、
フロアに居るひとの頭上にまで其れが波打ち進み、
膨らみ、たゆたった。
今までのやれ風船が、招き猫が飛んでくる、とは違った
ちゃんと意味を持った演出だった。
魅せる、
まっすぐと遠くを見据えて言葉を放ち、踊る彼女はモーゼのようだった。
相変わらず
フロアをあちこち移動してのライヴだったけれど
其の全部がきちんと演出されたように完璧にはまっていた。
此れが今やりたいことなんだろうな
と思える、ゆるさとか笑いを封印したステェヂだった。
彼女は凛と立っていて
もう疲れたよと云うこともなかった。
懐かしいけどね(笑)
一段階上へ行って仕舞ったような
でも其れで
観て居る方もちゃんと然う云う心構えで受けるところがいいなあと思った。
非常灯を消しての演出だのでスマホは勘弁とは思ったけども。
まあ、まあ。
其れにしても見応えがあったので
満足して会場をあとにした。
終わり方も不思議な感じで
ポンと栓を抜いたように自然とみんなが出て行く感じだった。
流れるような。
ふしぎな水体験だったな。

スパルタローカルズ『復活のファンファーレ』@恵比寿ザ・ガーデンホール

決まった当初、とても無理な日だったので諦めていたけれど
いろいろと無茶をしたらなんとか間に合った(笑)
8年前に解散を見届けたのも、
HINTOの始まりを観たのも、
去年のスパルタ復活も全部東京なんだもの!
なんだかんだで遠征できる身分でもないので
ここぞの時だけ動いてはいるのだけども
今回も無茶をしても
やはり観てよかったの満ち足りた感じが ざぶん と ぷはぁ とやってきた。


登場してからのまず歓声が男子。
いいね。
心のいいねを連打する。
個人的に男女比が同等ぐらいの客層って好きで。
君たちいつぶりに来たよ?って云うおかえり感が
ステェヂ上だけでなくフロアにも満ちていたのがなんかすごくよかった。
予告した(?)ハートを両手で形つくって
其れをぐいっと客たちに向ける。
歓声(笑)
なんかもう要らんでしょ、無駄な言葉とかは。
然う云う感じがした。


青い夏に始まりハートで終わる本編。
ほぼ一気に駆け抜けた感じがした。
間で中山さんに向けたおかえりの声援に
生声で返した「ただいまー!」があった。
1曲1曲に一喜一遊して、反応して、鳴らして、
会場全体の多幸感が凄まじかった。
シンプルなセットだったけど
後ろの白い壁に大きく映るメンバァの大きな影とか
真っ赤な照明とかが映えてすごくよかったと思う。
いい音があれば其れで特に装飾など要らんのだ。


堕落モで聴けていた曲も
やはりバンドで鳴ると違って聴こえた。
大きなステェヂで響く声も
やっぱりすごくいい唄を歌えるひとだなとぞくぞくしたし
唯一無二の歌詞と音があって
みんなのキレキレした空気が伝わって
嗚呼、然う云うバンドだったな、
こう云う鳴らし方をしてたよな此の曲は、
ってじんじんと感じた。
本能的な音がする。スパルタは。
本能的に応えないと呑まれる
ような気がするんだスパルタは。
だから楽しい
ってのもある。
しのごの云わんというのは本気でないと出来んのだ。
そんなことを思い出した。


嗚呼、ほんとにいいライヴだった。
観てよかった。



復活をしたことでHINTOのことを云われるけど
両方をただ楽しく聴いてた者からしたら
ちがうバンドだし
出してる音も世界感も違ってるから
どっちをどうとかって云うのってつまんないし
HINTOのビィトはビッツくんしか叩けないし。
ま、取り敢えず頭の選択肢の中でもごっちゃにはならないから
どっちもあっていい。

HINTOメインでわしわしと活動して
たまにスパルタかますぐらいでお願いします(笑)


取り敢えず復活おめでとうございますでした◎