アンヂィズキット

いろんな意味で演ずるひと。 芝居・音楽・絵・言葉をサイクロン方式に小出しにして遊びます 。

『愛がなんだ』を観た。

なんばパークスシネマ
監督:今泉力哉
原作:角田光代
出演:岸井ゆきの成田凌若葉竜也深川麻衣江口のりこ ほか

 

「ないものねだり」で魅了されてから、
ずっと岸井ゆきののこう云う感じの役を観たかったなと思ってた。
細かな気持ちの揺れがとても丁寧に表現されていた作品だった。

愛がなんだ。
愛の捉え方の差異。
客観したらわかることが真ん中に居るとわからなくなること。
ただ都合のいい関係、と名付けるでなく、
ひとつ踏み込んだ気持ちの変化が描かれていてとても興味深かった。

必要とされること、
寂しさと居心地、
想うこと、
想われたさの行き場、
愛が何かを考えなくって
ただ好きを尊重していたら迷宮に入ってしまうこともある。
好き。彼と居る自分が好き。その雰囲気が好き。
必要とされると満たされる。
必要とされないと不安になる。
どうでもいいやと思おうと雑に蓋をしてやさぐれる
簡単にした蓋なのですぐにまた開いてしまう。
結局、「好き」ともまっすぐに向き合わなかったし、
好きなひとにとっての愛を語られた時に受け入れられなかったその好きは
愛ではなかったのかもしれない。

愛を考えたナカハラくんはこれから上手くいくのかもしれないし、
愛を考えたスミレさんはマモルを選ばないかもしれない。
愛をすこし考えてみたマモルはただ追いかけられるより追いかけたいタイプなのかもしれないし
これからは変わっていけるのかもしれない。
好きとも愛とも向き合わずに、
マモちゃんになりたい生活を続けるテルコは本当のしあわせに触れられるのだろうか。

視線で気持ちを表現した居酒屋のシーンがよかった。

あとナカハラくんを演じた若葉竜也がとてもよかった。