アンヂィズキット

いろんな意味で演ずるひと。 芝居・音楽・絵・言葉をサイクロン方式に小出しにして遊びます 。

『人間失格』を観た。

監督:蜷川実花
出演:小栗旬宮沢りえ沢尻エリカ二階堂ふみ成田凌藤原竜也 etc
なんばパークスシネマにて鑑賞。

 

太宰治をたぶん真面目に読んだ記憶がない。
授業でメロスを、
ドラマのグッドバイを観て図書館で少し読んだぐらいだ。
男としてよからぬ印象をざっくりと持ってたぐらいだろう。

決して誉めないが決して見捨てることのない妻と、
愛人たちの愛し方はやはり違って映った。
妻は愛、愛人たちは恋と称されていたけども
確かにそんな感じがあった。
妻は耐え、戻ってきたときには許した。其れは愛だ。
然し、愛人たちは自分の想いばかりでぶつかっていたように思う。
愛と恋に線を引くことはできないけども
きっと心的には交わらないところにある。
でも人間であるから体はひとつであるのでややこしいことになる。
恋がすすむとがんじがらめになり
愛がすすむとかたくむすんだものをほどいていく。
心と体が一致していられるものを人間と呼ぶのであれば
太宰は人間失格だったろう。
芸術家とは然う云うものだ、
と云うような無責任な形容は
恐らくすごく自由のようにみえて
とても面倒くさい肩書きのように纏い付く。
本当は然うでありたかったのか
なんだか解らない気がした。

 

人間失格を執筆しているときの映像の演出が素晴らしかったし
宮沢りえはやはりすごい女優さんだなと改めて思った。内から滲むもの、抑えても溢れるもの。

最近気になっている片山友希が、やっぱりよかった。いい存在感のあるひとだ。

『嵐電』を観た。

監督:鈴木卓爾
出演:井浦新大西礼芳、安部聡子、金井浩人、窪瀬環、石田健太、福本純里、水上竜二 ほか

 

シアターセブンにて鑑賞。ティーチイン(てなに)

公開してから鬼ごっこのようなスケジュウルであちこちで上映してて
せっかくなら舞台挨拶のある回で観たいなと近場を選択。
そしてようやくの鑑賞である。
(ネタばれるかもよ)


主人公が云った、「人は変わる」の意味を考えていた。
人は変わると云った其の時から
心が其の時、其の場所に残って仕舞うから
もうひとりの自分が派生して
また違う軸の線路上に生きている。
「人は変わる」と云った自分は、残した自分とは違う線路を進んでゆくから
変わった感じがするだろうけど
残された自分は「変わらない」のかもしれない。
変わった自分と変わらない自分の交点は存在しないと迷信したとしても
線路はやがて何処かでいたずらに必然に交わったりする。
変わるは成長で、電車は人生なのだと思った。
そして、
恋はひとりでするものではないから
其の線路は更に増えて複雑に見える。

過去を振り返ることは悪いことばかりではない。
寧ろ、
振り返らないで居るより残してきたものと対峙することは
成長になるのかもしれない。

ねこバスの如しなんらかの獣のような電車は
其れを導き迷わせる幾つものラインで生活の上を走り
ふわふわと足のないようで
あしぶみをしてると
ふっとするどい目をしてどこかへさらう。

そんなことを感じた。

 

大西礼芳さんがとてもよかった。
よい演技をされる役者さんだなあ。
窪瀬環さんの表情も気になった。

井浦新さん、他の作品ではあまり見られないような表情をしていた気がする。

きつねさんとたぬきさんがいい雰囲気で怪しいのに楽しく
鈴木卓爾ワァルドはふわふわと躍るようでいて
しっかりと何処かへ連れてってくれる感じがしておもしろい。
あがたさんの曲もぴったりだしとてもよかったな。
またこっそりと
あそこに残した自分に会いに行こうかな
と思わせる作品でした。

同居ニャンは突然に。

引っ越すときに条件にあったのがペット可物件。
其れにぴったりのところを見つけて、
早々と猫タワーとトイレなんかも買い揃えてた。

んーでも、猫面食いな所為か
運命の人くらい 此の人だ!てのに出会わなく
(でも雑種・雌・美人・出来れば変柄ぐらいしか絞ってなかったんだけどなあ)
素敵と思ったらば単身不可だの
身分証を出せだの避妊強制だの
もうなんなんだよと其れ系団体の右向け方針に嫌気がさして
もう無理なんぢゃないかと思いつつ見ていたのが
地元密着型のあの情報サイト。

取り合えず拾ったよ誰か〜的なひとなら
無駄な拘束なく探せると思って声かけて
見に行くだけの予定だったのだけど直前で無しになって
いやいやもう結構其の気になっちゃってたんだけど
此の気持ちどうしたらいいよ?
て更新したらちょうど新しいお知らせ。
其れもどの娘もかわいいときた。
早いものがちで決めてねと云われて
二択に絞って
迷って決めた!

あーらこんな簡単に!
やれ仮面系前髪長めなハチワレがとか、
変柄サビちゃんとか、
あんなに選り好みしてたのはなんだったんだてくらい
見た感じは伊勢さんよりもシマな縞。
ま、美猫女の子ってとこは譲ってませんのでオーライで。
(地味に手足の柄変わってるし)

連絡した数時間後に取りに行くと云う
写真1枚見ただけの、
出会って2秒婚(其れも薄暗かったし)。

ついに突然に同居ニャンは現れたのであった。

『愛がなんだ』を観た。

なんばパークスシネマ
監督:今泉力哉
原作:角田光代
出演:岸井ゆきの成田凌若葉竜也深川麻衣江口のりこ ほか

 

「ないものねだり」で魅了されてから、
ずっと岸井ゆきののこう云う感じの役を観たかったなと思ってた。
細かな気持ちの揺れがとても丁寧に表現されていた作品だった。

愛がなんだ。
愛の捉え方の差異。
客観したらわかることが真ん中に居るとわからなくなること。
ただ都合のいい関係、と名付けるでなく、
ひとつ踏み込んだ気持ちの変化が描かれていてとても興味深かった。

必要とされること、
寂しさと居心地、
想うこと、
想われたさの行き場、
愛が何かを考えなくって
ただ好きを尊重していたら迷宮に入ってしまうこともある。
好き。彼と居る自分が好き。その雰囲気が好き。
必要とされると満たされる。
必要とされないと不安になる。
どうでもいいやと思おうと雑に蓋をしてやさぐれる
簡単にした蓋なのですぐにまた開いてしまう。
結局、「好き」ともまっすぐに向き合わなかったし、
好きなひとにとっての愛を語られた時に受け入れられなかったその好きは
愛ではなかったのかもしれない。

愛を考えたナカハラくんはこれから上手くいくのかもしれないし、
愛を考えたスミレさんはマモルを選ばないかもしれない。
愛をすこし考えてみたマモルはただ追いかけられるより追いかけたいタイプなのかもしれないし
これからは変わっていけるのかもしれない。
好きとも愛とも向き合わずに、
マモちゃんになりたい生活を続けるテルコは本当のしあわせに触れられるのだろうか。

視線で気持ちを表現した居酒屋のシーンがよかった。

あとナカハラくんを演じた若葉竜也がとてもよかった。

『underground』スパルタローカルズ、初聴きの儀。

新しき其れを手に取った。
まぶしい其れを開けたら広がる漆黒。
シンとして謎の扉のようで、
口を開けて隙間無く全部が詰まったような黒。
さてさて、
初聴きの儀と参りますか。

 
黒いマントを翻したら出てきた男が
「夢くれ」と鳴きだす。
刻み出した音は紛れもなくスパルタの其れ。
怪しくも目が離せないワァルドの始まり。

「コールタール0」航海のはじまり。
冒険がはじまった旅の道先。
わくわくとしてる。
少年のようにきらきらして
船先で風に吹かれてる。
最後の掠れた声がいい。

「jumpin」で刻まれる嗚呼スパルタのリズム的なやつ。
じゃつじゃつした心踊るやつ。
コーレスしたいしたい。
アヒトみたいな吠えにどきどきしたい。
きっとライヴでみんな踊り狂うよね。

アンダーグラウンド」此の詞がいちばんグッときた。
此の世界、歌詞カァドの最後の5行の秀逸さに。
なんと云う詞だろう。
皮肉めいて心とウラハラを口にして
葛藤と其の感覚に震え
手を取って光に一歩踏み出すまでの
映画一本出来るよな描写に
頭のてっぺんからさーっと何かに包まれるような
感動的悦に入った曲。
ギタァの音がHINTOを経て生まれた融合だなってすごく思った曲。

「battle」わくわくするリズム、
ギタァの自由度が増幅してて、
其れでもちゃんとスパルタの音だ!
細胞レベル〜以降の展開に震える。
構わず踊りたい。翻弄されたい。

スパルタの曲にそこはかとなくある「GOD」と云う匂い。
血とか人間とかつきつめたところにあるもの。
存在と云うか、在るもの。
哀らしさ。

「Leaky drive」
まさにドライヴィングのようにブレェキングで揺さぶられる。
音的に愉快なやつ。格好いいやつ。
何も考えずに踊れるやつ。

「noRmaL」
透明なとうめいな涙がひとすじおちる瞬間のような歌。
ひとすじの。
強い光の射すようなきらきらしたギタァの音と
歌の力が震わせる。
包まれてたい。
ずっと其の光に言葉に包まれていたい感覚がする音楽だ。
其の場の空気を変えるだろうな。
早く味わいたい。


リリース後のワンマン、待ち遠しい。

 

 

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