アンヂィズキット

いろんな意味で演ずるひと。 芝居・音楽・絵・言葉をサイクロン方式に小出しにして遊びます 。

『人間失格』を観た。

監督:蜷川実花
出演:小栗旬宮沢りえ沢尻エリカ二階堂ふみ成田凌藤原竜也 etc
なんばパークスシネマにて鑑賞。

 

太宰治をたぶん真面目に読んだ記憶がない。
授業でメロスを、
ドラマのグッドバイを観て図書館で少し読んだぐらいだ。
男としてよからぬ印象をざっくりと持ってたぐらいだろう。

決して誉めないが決して見捨てることのない妻と、
愛人たちの愛し方はやはり違って映った。
妻は愛、愛人たちは恋と称されていたけども
確かにそんな感じがあった。
妻は耐え、戻ってきたときには許した。其れは愛だ。
然し、愛人たちは自分の想いばかりでぶつかっていたように思う。
愛と恋に線を引くことはできないけども
きっと心的には交わらないところにある。
でも人間であるから体はひとつであるのでややこしいことになる。
恋がすすむとがんじがらめになり
愛がすすむとかたくむすんだものをほどいていく。
心と体が一致していられるものを人間と呼ぶのであれば
太宰は人間失格だったろう。
芸術家とは然う云うものだ、
と云うような無責任な形容は
恐らくすごく自由のようにみえて
とても面倒くさい肩書きのように纏い付く。
本当は然うでありたかったのか
なんだか解らない気がした。

 

人間失格を執筆しているときの映像の演出が素晴らしかったし
宮沢りえはやはりすごい女優さんだなと改めて思った。内から滲むもの、抑えても溢れるもの。

最近気になっている片山友希が、やっぱりよかった。いい存在感のあるひとだ。