アンヂィズキット

いろんな意味で演ずるひと。 芝居・音楽・絵・言葉をサイクロン方式に小出しにして遊びます 。

『嵐電』を観た。

監督:鈴木卓爾
出演:井浦新大西礼芳、安部聡子、金井浩人、窪瀬環、石田健太、福本純里、水上竜二 ほか

 

シアターセブンにて鑑賞。ティーチイン(てなに)

公開してから鬼ごっこのようなスケジュウルであちこちで上映してて
せっかくなら舞台挨拶のある回で観たいなと近場を選択。
そしてようやくの鑑賞である。
(ネタばれるかもよ)


主人公が云った、「人は変わる」の意味を考えていた。
人は変わると云った其の時から
心が其の時、其の場所に残って仕舞うから
もうひとりの自分が派生して
また違う軸の線路上に生きている。
「人は変わる」と云った自分は、残した自分とは違う線路を進んでゆくから
変わった感じがするだろうけど
残された自分は「変わらない」のかもしれない。
変わった自分と変わらない自分の交点は存在しないと迷信したとしても
線路はやがて何処かでいたずらに必然に交わったりする。
変わるは成長で、電車は人生なのだと思った。
そして、
恋はひとりでするものではないから
其の線路は更に増えて複雑に見える。

過去を振り返ることは悪いことばかりではない。
寧ろ、
振り返らないで居るより残してきたものと対峙することは
成長になるのかもしれない。

ねこバスの如しなんらかの獣のような電車は
其れを導き迷わせる幾つものラインで生活の上を走り
ふわふわと足のないようで
あしぶみをしてると
ふっとするどい目をしてどこかへさらう。

そんなことを感じた。

 

大西礼芳さんがとてもよかった。
よい演技をされる役者さんだなあ。
窪瀬環さんの表情も気になった。

井浦新さん、他の作品ではあまり見られないような表情をしていた気がする。

きつねさんとたぬきさんがいい雰囲気で怪しいのに楽しく
鈴木卓爾ワァルドはふわふわと躍るようでいて
しっかりと何処かへ連れてってくれる感じがしておもしろい。
あがたさんの曲もぴったりだしとてもよかったな。
またこっそりと
あそこに残した自分に会いに行こうかな
と思わせる作品でした。