アンヂィズキット

いろんな意味で演ずるひと。 芝居・音楽・絵・言葉をサイクロン方式に小出しにして遊びます 。

『ヘルタースケルター』を観た。

監督:蜷川実花 原作:岡崎京子
出演:沢尻エリカ大森南朋寺島しのぶ綾野剛水原希子新井浩文鈴木杏
   窪塚洋介原田美枝子桃井かおり


原作は読んでないひとです。はい。
取り敢えず蜷川作品を観る時は、
蜷川実花美意識の手中にある写真世界の延長と認識してます。
光が落ちて散らかった部屋ですら、
絵の如く美しいのだから。
其の常に美しい画であることが
逆にとても冷酷に感じて
今回の作品にはあっていたのかもしれない。


全身整形で創られた美を演じる沢尻エリカの姿が
ほんとうに素で存在することに、すごいなと思った。
とてもきれい。
沢尻エリカのきれいとかわいいがたくさんつまった映画。
そして
やっぱり後半崩れてゆく演技の強さにぐっと引き込まれる。
屋上で泣きじゃくるところがとても等身大ですきだった。
せつなすぎて泣けたけど。


窪塚洋介のこういう役もいいなと思った。
色気をはじめて観たかもしれない。
鈴木杏も台詞は少ないけど上手かった。
一瞬で摑む言葉の紡ぎ方をする。
あとは割と贅沢使いだなあと思った。

女子高生のお喋りやお客さんの歓声を
ノイズのように五月蝿く多用するのは
恐らく其の一種の不快さに追い詰められる感じと
其れでも然う云う風に受け止める温度差と云うか
世間と云うか
なんかそんな感じにあたしは受けとった。
チラチラと飛び回る幻覚の蝶が其の余韻の先のようだと。


求められたいのは
何かを得たいから?
ほんとうに得たいものは
ひとからもらうものではない。
其れを他人に求めて仕舞うと
其れは永遠には続かないことになる。
熱しやすく冷めやすい。
自分の価値の基準値は自分で握っていないと
ブレて仕舞う。
自分で自分を認めることは
とても
むずかしいのだけど。