アンヂィズキット

いろんな意味で演ずるひと。 芝居・音楽・絵・言葉をサイクロン方式に小出しにして遊びます 。

『ピンクとグレー』@TOHOシネマズ梅田にて鑑賞

監督:行定勲
出演: 中島裕翔、菅田将暉夏帆岸井ゆきの柳楽優弥


今年初の劇場鑑賞でした。
原作は読んでいないので
此の作品で感じたことをちょいと書き。


前半に感情移入して仕舞ったからか
後半モノクロになってからの呆然感が凄かった。
急に着ていた服をすべて奪われて
どの服も着せて貰えないみたいに
其の後誰にも寄り添えずに俯瞰して観てた。
衝撃と云うよりは
ただただ呆然として
現実の濃さとか
哀しさと云う言葉ではなんか違う
渇いた憂いのような
ひりひりしたものが並んだ。

「河田大貴」を前半で菅田将暉がきっちりと描いたからこそ
其れが虚構の回想であってものちの中島裕翔の「河田大貴」の憂いに繋がるのだろう。
冒頭にあったカメラのフラッシュを浴びるシーンがとてもきれいで
夏帆のはっとした一瞬の表情に感情があふれた。
岸井ゆきのしかり、
柳楽優弥しかり、
とてもいい役者さんが其処に居て、いい表情をしていた。
あと「共喰い」以来のふたりだなあとか。
いろんなものがとてもお洒落できれい過ぎるなとは思ったけど
其れすら硬質な冷たさの布石のように思えた。
行定作品は「贅沢な骨」の頃がいちばん好きで観ていたぶりぐらいだけど
いまのひとたちはどう受けとったろうな
と純粋に思った。


単純に孤独感と呼べない
何かを得て何かを失くしてゆく
多分其れはふつうに大人になってゆくことなのかもしれないけど。
抱えたものはどんなに近しくてもすべて見えるわけではないから
其れを知って仕舞うことはまた何か失って得るみたいに
想い出の匂いもきっと別の色にして仕舞うことなのかも知れない。