アンヂィズキット

いろんな意味で演ずるひと。 芝居・音楽・絵・言葉をサイクロン方式に小出しにして遊びます 。

『Dressing Up』@第七藝術劇場

監督:安川有
出演:祷キララ、鈴木卓爾、ほか


たとえば何かに無性に苛立ったり
何処からか迫りくるような不安から怒ったりするような
感情の理由が未だ何なのかわからなくて、
其のわからない状態を具現化したような作品だった。

軽く「死んで」って云って仕舞うような年頃の
一見動かないような感情の奥で
とてつもなく大きくなり歪んでゆく何かへの不安と
そんな自分を直視することの躊躇いだったり。

きっと其の理由を勇ましく探求していくのは少女で
少年にはあまりないのかもしれないと漠然と思った。
何も見ないように成長して
手のつけられないモンスタァと化した大人少女ってのも結構居る。
よく"少年の心を忘れない大人に"
とかって云うけれど
少女の心は忘れた方がいいのかもしれない。
其れは乙女心云々とは別の話で、
少女が成長する過程で
現実を見つめて打破してゆく
のちにひとを産み母となる時に必要な覚悟のようなものを
拾い受け入れる為に捨てるような。
女子の方が男子より大人びているのは其の所為なのかもしれない。


ラストで友だちと向き合うときの距離間と表情が印象的だった。
傷つけられても
まわりに近付くなと云われても
何か自分も持ってる同じ感じに
惹かれ続けて仕舞うからだろうか。
あの友だちの気持ちの動きがとても気になった。
対父親ともそうで、
主人公のうやうやとした表情の奥の本心が
何故か相手の表情に映し出されるような不思議な感覚になった。