「其の侭と云って底に取り残される。」(2005年06月27日の記述)
『君は其の侭でいいんだよ』
と云う類の安堵を貰う。
希に目の前の道でさえ見失い、
自らの存在の意味を問う様なすっぽりとした穴に入り込み、
右左も天地だか平面だか奥行きだか何もかもが消え、
酸欠の如く安堵を渇望し、
其の言葉を引き出す時は、
多分、
野生成る何かで人選をし、
其れを貰う為に問う。
優しく、
認可されたような心地がする呪文だ。
然し、
其れは
立ち上がる為の手で或って、
全てではない。
其れが全てだと安堵して、
同じ自分で居るのは只の怠惰だ。
「有難う」
と笑顔で手をかりて立ち上がり、
そして先を見る。
其れが志す者の正しい姿だと思う。
其の侭と云う認可は、
鳥篭にも成り得る。
大きく成れるだけのスペースを持つ為にも、
手足を伸ばす自由は必要だ。
其の侭に甘んじるひとなど、
本当は居ないのだから。